バイクのカスタムと聞くと、真っ先にマフラーなどを思い浮かべるかもしれません。確かに見た目も音も変わりカスタムした効果を実感しやすいですよね。しかし、本当に重要なのは、バイクを自分の体格に合わせる作業なのです。その重要性と方法や注意点について解説します。
 ライディングポジション
メーカーが設定しているのだから新車状態、要するにノーマル状態が一番だと思っていませんか?そう思っているなら大間違いです。なぜならメーカーは、身長の高い方から低い方の統計により万人に向くライディングポジションに設定しているからです。
グローバル化に伴い、販売の主軸となる国の統計に合わせてポジションを設定するようになり、大柄な方が多い欧米諸国に比べ平均身長が低い日本人にはポジションが合わない事が多くなってきています。
バイクと自動車
バイクのライディングポジションと自動車のドライビングポジションで比較して考えてみると、バイクは調整がほとんどできないのに対して、自動車ではシートの前後、背もたれの角度は標準で調整できるようになっています。またシート座面の高さや角度を調整できるものもあります。その他の部分ではハンドルの前後を調整するテレスコピック機能、ハンドルの高さを調整するチルト機構などにより乗車ポジションを調整することができます。
ライディングポジションの調整
スペースと構造上の問題からほぼ調整することができない、バイクのポジションの調整を紹介しますが、大きく分けて調整のみで出来るものと、交換が必要なものに分けられます。
調整のみでポジションを改善できるもの
クラッチ/ブレーキレバーの遊び
レバーの遊びなんか関係ない様に感じるかもしれませんが、ツーリングなどで長距離を走る場合、疲労の原因となりますし、操作性の不良はライディングに影響します。
調整方法は、それぞれのレーバーの遊び(重くなるまでの距離)を調整します。クラッチレバーは、半クラッチ操作が行いやすい位置に、ブレーキレバーは、ブレーキレバーを握った時にしっかり制動しやすい位置に調整します。初心者の方は、遊びを少なくしすぎると咄嗟の時にブレーキを強く掛けすぎ「握りゴケ」する場合もありますので程々にしておきましょう。
また、最近のバイクはレバーの根元にアジャスターが付いており容易に調整できる車両がおおいですが、クラッチ/ブレーキとも油圧式の場合は調整できません。その場合は、アジャスター付きのレバーにする方法としては、純正のアジャスター付きレバーを探して流用するか、社外品のレバーに交換するかのどちらかとなります。
クラッチ/ブレーキレバーの角度
角度の調整は、クラッチ/ブレーキのホルダー部分で調整できるものや、油圧式だとマスターシリンダーをハンドルに止めている部分を緩めることで調整が可能です。
スロットルワイヤーの調整
ごく最近の車両では、スロットル・バイ・ワイヤーを採用しておりスロットルワイヤーがない車両もありますが、スロットルワイヤー式の車両では、スロットル付近から伸びているワイヤ―に遊び調整用のネジが設けられていますのでスロットルの開け始めの位置を調整します。基本は、ブレーキをかける時にスロットルがきっちり戻る位置に調整してください。ベテランの方はブレーキを握りながらでも、スロトルワークがしやすい位置に調整しても良いかもしれません。
余談ですが、バイクのグリップにより疲労の度合いが大きく違ってきますので、握りやすく滑りにくいグリップに交換したり、滑りにくいライディング用のグローブを選ぶことです。グリップ力が弱いと腕に無駄な力が入り疲労だけではなくライディングにも悪影響をもたらします。
ハンドル
背の高さや腕の長さによって、ハンドルが遠く感じたり低く感じたりする場合、パイプハンドルでは、多少の位置を調整することができます。遠く感じる場合はハンドルを手前に引き、近く感じる場合は遠くに押して調整します。調整の目安はバイクにまたがった状態で肘が少し曲がるぐらいにしてください。そして実際に走行してみて腰の動きが妨げられていないかを確認してみましょう。ハンドル位置を変えるにはハンドルポストを緩めその部分を中心に動かすことになりますので、レバーの角度も変わってしまいますので合わせて調整してください。
ハンドルを動かすことで多少高さも変わりますが、それ以上に高くするには社外品のハンドルに交換するか、もしくはハンドルアップスペーサーを用いるかになりますし、低くしたい場合やハンドル幅を広げたい場合は社外品のハンドルに交換となります。
ハンドルを交換やハンドルアップスペーサーを使用する場合は、クラッチやブレーキのホースやワイヤーの長さに注意ください。
パーツ交換が必要となる物
ステップ
オフ車ならブーツが滑らないように金属の滑り止めの付いたものや転倒時のダメージに耐えられる強靭なものに交換するなどですが、オンロード車では、バンク角を増やすことを目的にバックステップに交換することが一般的だと思いますが、ステップ位置を調整できるタイプのバックステップであればポジションの調整にも使うことができます。
バックステップは、ステップ位置が上がるので膝の曲がりがきつくなりますので、膝が痛くなる場合もありますので、純正が一番良いこともあります。バックステップはものがステップゴムが無いものが多くダイレクト感があり踏ん張りがきくといった効果がありますが、反面、純正はステップゴムがありますので滑りにくく車体からの振動を吸収してくれる効果を持ちますので、自分に合ったものを選ぶことが重要です。見た目だけで選ぶと疲労や操作性を損なう元となりますのでご注意を。
シート
車両によっては、足つき性をを考えシート高を変えられる仕組みを備えているものもありますが、それ以外は、シートを加工するか交換しかありません。しかしシート高を変えることは、ハンドル位置やステップ位置とのバランスも変わりますので、トータルで考える必要があります。
メーカーでも、「ローシート」や「ハイシート」といったシートをオプションとして販売していますが、足つきだけを考えるならリヤショックの交換やリヤのサスペンションリンクの交換の方がポジションの相関間関係が崩れないのでお勧めですが、この手法の場合、リヤのショックを下げるので車両の前後バランスが崩れるのでフロントフォークの突き出しも調整する必要があります。また前後のショックを下げることで足つきは良くなりますが最低地上高が下がることになりますので、オフ車などでは走破性に影響が出ることになります。
最後に
ポジション調整の個所や注意点などを一通り紹介しましたが、ライディングの一番の肝は腰(骨盤)にあります。自分に合ったポジションに調整することで上半身に不要な力が入らない下半身を踏んばりやすい状態にすることで、腰をスムースに動かせるようにすることが最大の目的となります。またポジションの調整と合わせて骨盤周りのストレッチすることでスムーズなライディングのみならず足つきの改善にもつながりますので、ぜひ実践してみて下さい。
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