ジムニーのリフトアップやアルトなどの車高ダウンは、定番のカスタムですが、最近では、エブリイやハスラーのリフトアップも流行っているようですね。新型のジムニーJB64、スズキセーフティサポート機能付き車は注意が必要です。
なぜなら、スズキセーフティサポート機能はブレーキサポート・誤発進抑制機能・ハイビームアシストなど安全走行の補助をしてるものですが、それらの機能は、フロントガラス上面に取り付けられたユニットによって測定されていることから、車高に変化があると誤作動を招く恐れがありますのです。
スズキセーフティサポート機能付き車でのリフトアップやローダウンを行った際には「エーミング作業」が必要となります。厳密にはホイールのインチアップでもエーミング作業が必要となりますので、そのあたりを解説いたします。
エーミング作業とは
エーミング作業とは、レーダーセンサーや音波センサーがついた外装類の脱着やカメラがついたフロントガラスの交換、フレーム修正を伴う板金塗装などを実施した際に先進安全装置を正しく作動させるために行う校正作業のことです。国交省は、センサーやカメラなど検知システムの交換や修理などの作業を分解整備と位置付け、令和2年4月1日より、道路運送車両法が一部改正に伴い、電子制御装置の整備には追加資格が必要となり、新たな認証を受けなくては作業が行う事が出来なくなりました。
「従来の分解整備」+「自動運行装置」+「対象装置の作動に影響を及ぼす恐れのある整備・改造」を「特定整備」と呼びます。
エーミング作業が必要となる作業
一般的にエーミング作業が必要となるのは、次の場合があります。
- フロントガラス交換
- デュアルセンサブレーキコントローラの取り外し・取り付け
- デュアルセンサブレーキコントローラーが、ダイアグノーシスコード「C1690」を検出した時
- 軽微な場合を含む前面の衝突事故
エーミング作業前の注意事項
- フロントガラスのカメラ付近に損傷が無いことを確認する。
- カメラのレンズ部に汚れが無いか確認。
- 明るさが一定であることが望ましいため可能な限り屋内で作業を行う。
- 車両前方に5メートル程度のスペースを確保する。
- 水平な場所で作業を行う。
- デュアルセンサブレーキコントローラーが、ダイアグノーシスコード「C1690」を検出していないこと。
- ヘッドランプは消灯すること。
- 車室内の荷物はすべて降ろし空車状態にする。
- 全てのタイヤの空気圧を規定値に調整する。
エーミング作業の流れ
エーミング作業には、
- 静的エーミング(車両準備・エーミングターゲットの設置・エーミングの実施)
- 動的エーミング(走行による自動調整)
と二つの作業があり、両方が完了してエーミング作業は完了となります。
デュアルセンサブレーキサポート装備車の入力データ項目
- カメラとターゲットの距離
- ターゲットの高さ
- カメラと前輪車軸の距離
- カメラのオフセット
- カメラの高さ
- ターゲットと車両中心軸の距離
静的エーミングが停車状態で車両とターゲットの位置合わせをし、校正作業を行うのに対し、動的エーミングは、実走行時にて自動調整を行うものです。いずれの作業も診断機が必要となります。
動的エーミングの走行条件は、以下のどちらかの要件が満たされると診断機にの「自動調整実施状態」の項目が「実施済み」と表示されれば作業完了となります。
- 車速が3km/h以上で、周囲の風景が単調でない道路を走行する。
- 車速が約60km/h以上で、両方に白線のある道路を走行する。
改造によるデメリット
作動の保証なし
リフトアップやローダウンした場合、エーミング作業を実施していてもスズキでは、保証期間であっても、セーフティサポート機能の作動補償は一切してくれません。
誤作動
エーミング作業が未実施だった場合には、車高の違い=検知システムからの入力情報に誤差が起きるのですから、作動条件が変わってくることになります。
ですから、誤作動して止まらなかったり、逆に勝手に止まったりする可能性が出てきます。
エーミング作業が出来ない可能性も
静的エーミングを行う際、診断機にデータ入力するのですが、「デュアルセンサブレーキサポート装備車」の入力データの数値が車高変化によって変わってきますので、エラーがかかり作業を完了できない可能性もあるのです。
ホイールのインチアップによる車高変化
スズキでは、タイヤサイズによる車高の変化や2WD /4WDでも入力データを変えていますので、ホイールのインチアップでも、エーミング作業が必要と考えられます。
例えば、ワゴンRスティングレーの場合、純正装着サイズ「155/65R14」と「165/55R15」ですが、それぞれのタイヤの外径(直径)は、「557.6mm」と「563.0mm」です。外径差は、5.4mmとなり、その半分の2.7mm車高が変化することになります。
スズキでは、ワゴンRのエーミング作業での「カメラ高さ」は、それぞれ「1419mm」と「1423mm」を入力することになっており、その差は4mmと少し大きな値となっています。これはタイヤの外径誤差を鑑みてだと思われます。
このようにかなりシビアな設定をするので、少し車高が変化するだけで作動条件が変化する可能性があるのです。
最後に
ジムニーの専門店などでは、独自に入力データを持っているようですので、「デュアルセンサブレーキサポート装備車」で車高にかかわる改造を行う際は、エーミング作業について熟知したおショップで行うのが安全です。またエーミング作業をしようと思ってもディーラーでは改造車は作業してくれない場合もありますので、きっちりフォローしてくれるショップを探しましょう。
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