車両火災現場に遭遇!燃え上がる要因とは(バッテリー偏)

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先日、展望台に上がるために坂道を登っていくと、煙を上げている軽自動車が停車していました。そして、ただ茫然とそれを眺めているご夫婦。声を掛けると「水をかけたけど駄目だった」そうで、消防には連絡済みとのことでした。車両の前側に回ると、バッテリー付近から出火しており、大きく炎が出ていた。何分と経たないうちにガソリンに引火したのか、急激に炎が大きくなったので危険を感じ現場を離れ展望台に向かいました。

帰りに見ると車両は全焼しており、おまけにサイドブレーキもしくはパーキングのロックが焼け落ちたためか坂道を下り、山の斜面に接した所でまだ燃えていた。その炎がが木にも燃え移り、消防隊員が懸命に消火活動を行っていた。

こんな状況を目の当たりにし「明日は我が身」と強く感じ、自の車両の点検をすると共に、皆さんにも知識として知っていただき、ぜひ点検しておいていただきたいと思いますので、解説しながら車両火災の要因と点検しておいた方が良い所を紹介していきます。

車両火災

近年の自動車は、室内空間を確保するためにエンジンの上にダッシュボード(インストルメントパネル)が張り出した構造になったものが多く、エンジンルームの出火後すぐに室内に煙が充満することが写真からもうかがえます。エンジンルーム内には、エアクリーナーボックスやダクトなどの樹脂製のパーツも多くバッテリーから出火すると、すぐ横に燃えやすい素材がある事になります。また以前に比べてエンジンの構成部品も、多くのパーツが金属から樹脂製に置き換えられていることも、燃え上がりやすい原因の1つとも言えると思います。そこで今回は、バッテリーが原因となる車両火災にについて説明していきます。

バッテリー本体の固定不良

バッテリー固定用の金具の取り付け不良のため、走行中バッテリーが暴れバッテリー端子に負担がかかり端子および配線の切断部が金属部分に接触すると火花が発生します。配線や端子が切断しなくても暴れた時に、+端子が金属部分に接触しても火花が発生します。

バッテリーの上にある錆びた棒状ものが固定金具です。

バッテリー端子の取り付けナットの締め付け不良

バッテリー端子の取り付けナットが締まっていない、もしくは緩んできた場合に端子部分で火花が発生します。

バッテリー端子の腐食

充電を端子に付着するとバッテリー端子の締め付けは問題なくても、端子の腐食により欠けや亀裂があると、端子が遊び火花を発することがあります。

腐食はそれほどではないですが、亀裂が入っています。

バッテリー液は、希硫酸ですのでバッテリーケーブルの素材の銅と反応し硫酸銅となり端子を腐食させます。

バッテリー端子のショート

通常、バッテリーの+端子には赤い色のカバーが付いていますが、何かの拍子に外れてしまい端子がむき出しになっていると金属と接触し火花を発生する可能性があります。

端子位置が左右逆の物を取り付け

バッテリーには右用、左用があり、車種により右用を使うのか、左用を使うのかも決まっています。

この端子位置に合せてバッテリーのケーブルの長さを合わせてあるので、端子位置が違うものを付けてしまうとケーブルに負荷がかかりますし、+端子がボンネットやその他の部品と干渉してショートする可能性もあります。

例えば、ホームセンターなどでご自分でバッテリーを購入して、いざ取り付けようとすると取り付けようとすると左右を間違えて購入したことに気づいた。でも交換しに行くのが面倒で無理やり付けるようなケース、もしくは左右間違えに気付かず、無理に取り付けているかですね。

バッテリー端子の見分け方は、バッテリーの+側を手前、-側を奥に見た時に手前にある+端子がバッテリーの右にあるか左にあるかで判断します。40B19Lと記載されていたら+端子が左側 40B19Rと記載されていたら+端子が右側になります。

手前側にプラス端子を向けた時に左側にあるので型番の最後にLの文字が入ります

後付け電装品の不適切な取り付け

バッテリーからの+電源の取り出しを行う際は、取り回しをきちんと行わないと、配線切れや配線の被覆が削れショートすることがあります。本来、予防的にヒューズを入れますが、この目的は、ショートにより大きな電流が流れた場合に、ヒューズが溶断することで電気回路を保護することですが、ヒューズを設置していても、稀にヒューズが飛ぶほどの大きな電流にはならないケースで、可燃物に引火し出火することもあるようです。

エンジンルーム内では、エンジンの振動し、AT車ならDレンジ・Rレンジに入れた時には、エンジンは大きく振れています。配線の取り回しが悪いと切れてしまい剥き出しの銅線がショートしますし、切れなくてもエンジンの振動で時間をかけて被覆が削られていく場合もあります。ご自分で作業されるなら、その辺もしっかりと考えながら作業する必要があるでしょう。自信がないようでしたらプロに任すのが安心です。

マイナス端子に亀裂が入った要因はアーシングケーブルによって負荷が掛かったものと思われます。

バッテリー端子の逆接続

走行中ではありませんが、バッテリー交換の際に端子を+-を逆に接続した場合や、ジャンピングの際に逆に接続してしまうと出火するとケーブルが焼け出荷する恐れがあります。

バッテリーの+-の見分け方は、バッテリーの端子付近にそれぞれ+-と表記されており、+端子の方が大きいです。また一般的にプラス側には、赤色の端子カバーが付いています。

これはゴム製ですが、プラスチック製のものもあります。

バッテリーから発生した水素ガスに引火

バッテリーは、満充電後にさらに充電を継続すると電気分解により、+側から酸素、-側から水素が発生します。バッテリーが劣化してくると、バッテリー内に溜めることが出来る電気量が減少するので早く満充電の状態が訪れることになり慢性的な過充電状態となります。過充電の状態では、水素ガスの発生量が増加し、ボンネット内に充満した水素ガスに外的な要因が加わると引火・爆発する危険性があります。

バッテリー液減少による内部での爆発

バッテリー本体にバッテリー液の上限と下限の印があるものもありますが、最近は透明なケースを使用していないも多く、バッテリーのキャップを開けて確認するものもあります。下限はキャップを開けてみた時、各セルの極版がバッテリー液に浸かっている状態にしておいてください。下限以下(局番が露出している状態)で使用するとバッテリー内部の溶接部分の劣化が進行し、大きな電流が流れた時に劣化部で火花が発生するようになり、それが水素ガスに引火・爆発を引き起こす恐れがあります。

左がバッテリー液が減少し極版が出ているセル、右側はバッテリー液が入っているセルです。

最後に

実際に、車両火災の現場に出くわし燃え上がる速度の速さに驚きました。もしバッテリー付近の出火で煙が上がりだしてすぐなら、ボンネットを開けて、水を掛ければ何とか消化できるかもしれませんが、もしバッテリーの爆発が起き希硫酸が飛び散ると失明の危険もあるので、判断が難しい所です。それにボンネットも焼けているでしょうから、素手で触ると火傷の恐れもありますのでご注意ください。

バッテリーに関連する車両火災の原因を一通り説明しましたが、点検自体は、むずかしい事をするわけではないのと、バッテリー自体は比較的点検しやすい場所に搭載されていることが多いので、ご自分で点検することが可能です。ぜひ一度、点検してみてください。

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