現在の自動車のバッテリーは、充電制御、アイドリングストップ用、補器バッテリー用など種類も増えバッテリーに求められる性能や負担が増加しています。そのため入庫車両のバッテリー状態を正確に把握する事がトラブルを未然に防ぐことに繋がります。そこで最も正確に診断ができるテスターとしてヨーロッパを中心に使われているミドトロニクス社製のバッテリーテスター「PBT-300」の紹介と使い方を解説します。
測定方法(コンダクタンステクノロジー)
今まで使われていたバッテリー診断は負荷をかけて行うものが一般的でした。
この負荷診断型のテスターは、バッテリーにエンジン始動時と同じ程度の負荷を与え、最低電圧を基準に診断するタイプでしたが、これでは新品でも放電したバッテリーは「要交換」と表示されることもあり、あまり当てになる物とは言えませんでした。
しかし、ミドトロニクス社製バッテリーアナライザーは、バッテリーに負荷をかけるのではなく、バッテリーが劣化すると極版は硫酸鉛へと変化し、鉛(−極)・酸化鉛(+極)とで抵抗値が違う事を利用しており、バッテリーの内部抵抗値と電圧をCCAに変換して数値を出す診断方法を採用しているため、テストを繰り返してもバッテリーを痛めません。また、現在発売されている数ある良否判定を行う機器の中で最も正確に判断できるとされています。
PBT-300 緒元
製造会社(生産国) | ミドトロニクス(米国) |
モデル名 | PBT-300 |
寸法 | 約180mmx約90mmx約35mm |
質量 | 約350g |
動作環境 | -18~+50℃ |
計測方法 | コンダクタンステクノロジー |
表示 | CCA(A) |
良否判定 | LED 緑・黄・赤 |
診断バッテリー電圧 | 8V~17V |
計測単位 | 5A |
計測範囲 | CCA:100 ~ 1400 |
計測規格 | CCA(コールドクランキングアンペア) SAE(自動車技術者協会) DIN(ドイツ工業品標準規格) IEC(国際電気標準会議) EN(欧州統一規格) JIS(日本工業規格) |
PBT-300の使用方法
PBT-300は、4つの機能を持っており「バッテリー電圧測定」「バッテリー出力電流(CCA)測定」「バッテリー負荷電圧測定」「オルタネーター発電電圧測定」がありますので、それぞれの使い方を説明していきます。
バッテリー電圧測定
- エンジン停止を確認
- バッテリー端子にクリップを挟む
- テスター左側の「V」ボタンを押す
- 電圧が表示されると共に、LEDランプが点灯し、良否を判定してくれます。
バッテリー出力電流(CCA)測定
- エンジン停止を確認
- バッテリーの端子にテスターのクリップを挟む
- 測定するバッテリーのCCA値を ↑ ↓ のボタンを押して規定値に合わせる。
- テスターの右側の「TEST」ボタンを押す
- 5秒程でCCA値が表示されると共に、LEDランプで良否を判定してくれます。
国産バッテリーは、基本的にCCA値を公表していませんので、バッテリーに記載がない場合はテスター裏側に記載されているJIS-CCA変換表を使いますが、記載されていない型番の物やアイドリングストップ車やハイブリッド用のものについては以下の記事を参照してください。
バッテリー負荷電圧測定
- エンジン停止を確認
- バッテリー端子にクリップを挟む
- テスターの「↓」ボタンを押したままエンジン始動
- バッテリー負荷最低電圧が表示されると共に、LEDランプ(緑・赤)で良否を判定してくれます。
(電圧・CCA値の測定に引き続き、このテストを行う場合は一旦、クリップを取り外してテスターをリセットしてからテストを行ってください。)
オルタネーター発電電圧測定
- バッテリー負荷電圧測定で押していたテスターの「↓」ボタンを放すとアイドリング時の電圧を表示します。
- テスターの「↑」を押したままでエンジン回転数を2000回転まで上げると、オルタネーター発電電圧が表示されると共に、LEDランプ(緑・赤)で良否を判定してくれます。
最後に
今後もバッテリーに対する欲求は高まると共に、バッテリーテスターに求められる性能も高まっていますので、最も正確に測定できるミドトロニクス社製のバッテリーテスター「PBT-300」を強くお勧めします。
最後に、このテスターで唯一気になる点は、本体とクリップを繋ぐコードが少し硬くチープな感じですので耐久性が気になりますので、特にコードの取り扱いは丁寧に行う様にしたいところです。
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