現在、発売されているほとんどのガソリンエンジン車には、イリジウムプラグが採用されるほどポピュラーになったスパークプラグですが、従来の白金プラグと比較して何が違うのでしょうか?今回はイリジウムプラグと白金プラグの違いや、その効果についてご紹介します。
スパークプラグとは
スパークプラグ(点火プラグ)は、ガソリンと空気が混ざった混合気に着火することで爆発を起こし、そのエネルギーを動力として自動車やバイクを動かすために欠かせないパーツとなっています。
スパークプラグには、標準プラグと呼ばれる電極にニッケル合金を用いたレジスタープラグ、白金を用いた白金プラグ、イリジウムの合金を用いたイリジウムプラグがあります。
白金プラグ
- 白金は、融点が1769度と高いため、熱に強く、酸に対して強い耐食性を有しています。この特性を生かし、白金プラグは、着火性能を上げるために中心電極を標準プラグより細くすることが可能となり、高着火性を得ることが可能となりました。しかし中心電極への白金の使用だけでは、ニッケル合金である外部電極(接地電極)の消耗により、耐久性は標準プラグと同じとなってしまうので、外部電極側にも白金チップを埋め込むことで長寿命化を図っています。
イリジウムプラグ
イリジウムは、融点が2,466度と高く、非常に硬く、加工が難しいので、通常、粉末として利用されますが、白金にイリジウムを混ぜることで非常に硬く腐食されにくい合金となることから白金プラグに代わり、使われるようになりました。
イリジウムプラグも白金プラグと同じように、中心電極へのイリジウム合金の使用だけでは、ニッケル合金である外部電極(接地電極)の消耗により、耐久性は標準プラグと同じとなってしまうことから、外部電極側にも白金チップを埋め込むことで長寿命化を図っています。
白金プラグとイリジウムプラグの違い
白金プラグ、イリジウムプラグ共に交換推奨時期は、10万キロです。
燃焼時室内の温度は、2,000度ともいわれていますが、融点が2,466°Cのイリジウムが高寿命なのはわかりますが、融点が1,769℃の白金を使用している白金プラグで交換推奨距離が変わらないのは、耐久性としては白金プラグで充分なはずです。では、なぜイリジウムプラグなんでしょうか?
その答えは、中心電極にあります。最初にイリジウムプラグを発売したデンソーでは、中心電極径が一般プラグ(Ф2.5)白金プラグ(Ф1.1)イリジウムプラグ(Ф0.4)と中心電極の径が小さく細い形状になっています。これは中心電極を細くすると火炎核の促進が高まり、着火性の向上が見込めるからです。半面、電極の消耗が激しくなるので、その素材を白金を使用し、更に電極の極細化をするためにイリジウム合金を使ったイリジウムプラグが開発されました。
着火性能の向上により、失火を低減しアイドリングの安定、エンジン音の静寂性や燃費性能、加速性などを白金プラグよりも更に高めることが可能となりました。
最後に
イリジウムプラグが発売されるまでは、外部電極の本数や形状の違いはあるものの基本的に標準プラグと白金プラグの2種類だけで、新車装着のスパークプラグは、ほとんどが標準プラグでしたが、環境性能が重視されるようになり、排出ガスの低減、燃料消費の低減などを背景にイリジウムプラグは世に出てきました。イリジウムプラグの目的は、「良く走る」ためではなく、「アクセル開度が今までよりも小さくても、今までと同じように走る」ことで燃料消費が抑えられることが本来の目的だと思います。
このような背景もありますので、環境に配慮しながらドライブやツーリングを楽しみましょう。
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