セルフスタンドで自分で給油される方も多いと思いますが、その際に燃料を入れ過ぎていませんか?チャコールキャニスターの付いたバイクは、ガソリンの入れ過ぎが燃費の悪化や不調の原因となるようです。その仕組みや入れ過ぎと適正な給油での燃費の差を実体験を交えて紹介します。
チャコールキャニスター
自動車では、当たり前の装置であるチャコールキャニスターは、燃料蒸発ガス排出抑止装置とも呼ばれますが、その名の通り燃料タンクで発生・気化したガソリンをそのまま開放する事は、大気汚染に繋がります。それを抑止するために活性炭(チャコール)の入ったチャコールキャニスター内で一旦、吸着させたものをエアクリーナーから吸い込まれる新気と共にエンジンに吸い込ませることで、生ガスに含まれる炭化水素を積極的に燃焼させることを目的として取り付けられている装置を指します。
燃料の入れすぎ の実体験
道が狭く曲がりくねった急な坂をが続く、みかん山に登る前にセルフスタンドで給油したのですが、燃料をゆっくりと入れて行くと、口いっぱいに入れても少し減るので減った分を足すを繰り返しながら給油口ギリギリまでガソリンを入れました。過去に乗っていたバイクでもタンク内に溜まった空気が抜けるので、足すのと同じような感覚でした。
その後、みかん畑が広がるみかん山をアップダウンを繰り返しながら頂上を目指していると、下りでスロットルを戻すと「ボコボコ」という排気音が気になりつつ走っていると、シフトダウンした途端エンストが発生。
幸い再始動はすぐできたので、頂上まで上がりゆったりと景色を眺めながらコーヒータイムを楽しみました。
そして、エンストしたことも忘れ、山を下っていると、今度は時折、ガソリン臭がしてきました。先程、コーヒーを入れる時に使用したアルコールバーナーの燃料が漏れたかな?なんて思いながら走っていましたが、山を下りると匂いはしなくなりました。
このことについて、バイク屋さんに問い合わせてみた所、開口一番「直前にガソリン満タンにした?」と聞かれました。どうやらガソリン満タンが原因のようでした。
原因
このような不具合の原因は、ガソリンの入れすぎにより余剰分のガソリンがチャコールキャニスターに溜まってしまったことによる燃調の狂いが原因です。
チャコールキャニスターと燃料タンクの間には、逆止弁が付いており、チャコールキャニスターからの逆流を防止していますが、通常はタンクからチャコールキャニスターへ蒸気が流れる仕組みになっています。満タンにしても少し減るのは、この逆止弁を通過してチャコールキャニスターに流れているからのようです。
キャニスターに溜まったガソリンは、エンジン始動すると燃焼室内に送られるため混合気が濃い状態となってしまいます。そのためプラグがかぶり気味となり、エンストを誘発するようです。
FI車なので、ある程度は補正されるものの噴射量の補正範囲を超えると、エンジンチェックランプが点灯する事もあるようです。
対策
対策としては、給油の際ガソリンを入れ過ぎないようにするしかありません。
給油の目安としては、タンク内の金属部分の下までにしておいた方が良いようです。
ガソリンの無駄
余剰分のガソリンは、蒸気としてではなく液体としてチャコールキャニスターに流れ込み溜まってしまう無駄な燃料であり、さらに過度に濃い混合気を再循環させることになることで燃調が崩れエンジンの調子を落とすことにも繋がります。調子を落としたエンジンは、わずかですが正常時に比べ出力不足を引き起こしています。結果、無意識に余分にスロットルを開く事となり燃費に影響がでます。
実例としては、燃料入れすぎ状態の時は、まだ慣らし運転中でしたのでエンジン回転数を5,000rpmに抑えていましたが、燃費が約 35km/L だったのに対し、エンジン回転数9,000rpmまで回し、なおかつ林道や廃道を走っている距離も長かったのにもかかわらず、適切に給油した際の燃費は、40km/L を越えていましたので、ガソリンを口元いっぱいまで入れてもチャコールキャニスターに流れてしまい、単に無駄になっていることと、燃調の狂いによる悪影響で低下していることがわかります。
また、入れすぎている時は、メーター内に表示されているAVGの数値と「満タン法」で計測した数値では、5km/L以上「満タン法」の数値が悪くなっていましたが、適正量の給油では、その差はごくわずかでした。
AVGの数値はインジェクターから噴射される燃料のの噴射量を基にしていますので、カタログ値のタンク容量 7.7L に対し算出していると思われますが、燃費の計算で一般的な手法である「満タン法」との数値の差はごくわずかな事からも効率が悪くなっているのは明らかです。
最後に
ガソリンスタンドが減っている昨今、特に田舎の方にツーリングに出かけた際、スタンドが無くドキドキした経験をした方は少なくないはずです。そんな事情もあり、今までも航続距離を稼ぐために燃料をギリギリまで入れていましたが、不具合を感じたことは無かったのですが、チャコールキャニスター装着されるようになった車両では、その方法は使えないので航続距離の短いバイクで出かける際は予備タンクを用意するのが安心かもしれません。
適切な給油はを心がけることが、ギリギリ満タン給油に代わる航続距離を延ばす方法と言えるでしょう。とはいえ、タンクの容量はかわりませんので、くれぐれもガス欠には気を付けて楽しくバイクライフをお過ごしください。
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