近年、ハイオク仕様の自動車やバイクが増えてきましたが、これは性能的にエンジンが要求することもありますがグローバル化が進む中、日本のレギュラーガソリンにわざわざ適合させないのも要因のひとつだと思われます。
そのハイオクガソリンですが、特徴の1つに、清浄成分が配合されていることが挙げられます。
清浄成分を配合しているのは燃焼室やバルブ周りにカーボン堆積による性能低下を抑えたいからですが、ハイオクガソリンを入れておくだけでエンジン内部、燃焼室内やバルブ周りをきれいに保つことが出来るのでしょうか?
残念ながら、それだけでは十分とは言えません。
カーボン堆積の要因と症状を説明し、燃料の添加剤を入れる必要性を説明していきます。
※一般的な呼び名のカーボンと表現をしていきますが名称は違えど汚れ全般とお考え下さい。
レギュラーガソリンとハイオクガソリンの違い
レギュラーガソリンとハイオクガソリン(ハイオクタン価)の違いは、「オクタン価が高い」ということは当然ですが、清浄成分の配合量も違います。
レギュラーガソリンの場合、清浄成分配合の決まりはなく清浄成分は配合されていないのが現状です
石油元売り5社が「独自技術で開発した」と説明していたハイオクガソリンが混合出荷されていた問題も記憶に新しいですが、ガソリンの需要低下により石油業界が20年程前から低迷をはじめました。
そこで物流の効率化を図るために貯蔵タンクを共有することになったようです。
ちゃんとしていたのは昭和シェルのハイオク以外は清浄剤が入っていなかったようですね。
レギュラーガソリンにも含まれる「汚れが付きにくくする成分」ではカーボンの堆積をやや抑止する効果はあったとしても、堆積を防止・除去する効果まではありません。
堆積したカーボンを除去するには、エンジンのO/H少なくともシリンダーヘッドのO/Hが必要となる作業です。
そんな大掛かりな作業を行わなくて済みコンディション維持するためにも添加剤によるカーボンの除去を定期的に行う必要があると言えます。
カーボン堆積の原因
- 短距離走行
- 低回転での走行(市街地などの走行)
- アイドリング
- エンジンオイルの劣化(清浄作用の落ちたブローバイガスの再循環)
- エアエレメントの詰まり(空燃比の狂い)
- スパークプラグ等の点火系統の異常(未燃焼ガスが発生)
- オイル上がりやオイル下がりによる燃焼室へのオイルの混入
- キャブの調整不良及び不具合
- インジェクターの詰まり・噴霧状態の異常
- 粗悪ガソリンの使用
中でもカーボンのたまりやすいのは次の物が挙げられます。
- 高回転・高出力型のエンジン
- 排気量の大きいエンジン
- 設計上カーボンがたまりやすいエンジン(燃焼室形状やインジェクターの噴霧角度など)
高回転高出力型で排気量の大きい車種では、低回転走行や市街地でのストップ&ゴーなどは最もカーボンの堆積が起きやすいと言えます。
カーボン堆積による症状
- 始動性の悪化
- エンジンのもたつきや加速が鈍い
- パワー・トルクの低下
- 加速時にノッキングする
- 燃費の悪化
- アイドリング不安定
- エンジンの音がうるさくなる
インテークバルブに堆積しているカーボンがキャブやインジェクターから送られた燃料を吸着してしまったり、または通路を狭めたりすることで燃料の流量不足による始動性の悪化やエンジンのパワー・トルクのダウン。
排気ポートの通路が塞がり排気効率が悪くなることにで、パワー・トルクダウンを起こすこともあります。
ピストンに付着したカーボンは圧縮比を変化させ、ノッキングやエンジン音が高くなる原因となります。
パワー・トルクが低下するということは、同じ速度で走ろうとすると正常時よりもスロットルを開くこととなり燃費が悪化します。
意外と気が付いていないのかも
毎日乗っていたとしても徐々にカーボンが堆積していくので慣れてしまい意外と気が付かないもので、週末しか乗らない方なら尚更かもしれません。
高速道路を走った後に、自動車やバイクの「調子がいい」と感じたことはないでしょうか?
そう感じたならば調子が落ちているのに、慣れてしまっている証拠です。
一定時間、エンジン回転を上げて走行することで、燃焼室内やピストン・バルブ周りのカーボンが除去された結果「調子がいい」と感じたと思われます。実際は、「本来の性能に戻った」が正解だと思われます。
燃料添加剤の種類
一般的にガソリン添加剤と表記されてることが多いと思われますが、ガソリンのみではなく軽油にも対応している商品もあるので、燃料添加剤と表現しています。
現在販売されている燃料添加剤は、ポリエーテルアミン系(PEA)の物が多く販売されていますが、安価なものはポリブデンアミン系のものや、メタノール・アルコール・トルエン系のものがあります。
除去する程の効果が無い上に、メタノール・アルコール・トルエン系はシールやパッキンなどのゴム部品を痛める原因となります。使用しない方がいいでしょう。
ポリエーテルアミン系(PEA)
簡単にポリエーテルアミンの説明をしておきます。
1970年に開発されたポリブデンアミン(PBA)が清浄剤としてと使用されていたが、耐熱性が良く燃焼室内で最後に燃焼されるため添加剤自体がデポジットとなる問題があり、その問題を解消する目的で開発されたのがポリエーテルアミン(PEA)です。
特徴としては
- 吸・排気バルブ・燃焼室内のカーボン堆積物の除去
- 汚れが再付着しにくくする作用がある。
- 燃焼室副産物を発生させない。
- エンジン内部のパッキンやオイルシールへの攻撃性が少ない。
ポリイソブデンアミン(PIBA)
ポリエーテルアミン(PEA)と共に、清浄効果が認められている成分です。
詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
最後に
近年、ハイオク指定の自動車やバイクが増えてきている中、「ハイオクガソリンを入れると燃焼室が綺麗になる」と言われてきましたが、それが幻だということが、混合集荷問題で証明されてしまいました。
この様な現状では、何らかの方法を用いて燃焼室内を綺麗に保ち、性能を維持することが必要となってきます。
気付かないうちにカーボンが堆積し、エンジン不調を引き起こす前に、自分でできる日頃のメンテナンスとして燃料添加剤の使用をお勧めします。
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