スズキ エブリィ(DA64W)4WDがハンドルをいっぱい切った際に変な音がするとの事で点検してみるとロアボールジョイントにガタがありました。ボールジョイント単体の部品設定が無いのでロアアームAssyの交換を行いました。
問診
「ハンドル切った時に変な音がたまに出る」との事でしたが、「どんな音か?」という問いには「なんと表現して良いかわからない」とのことでしたので、見当が付きませんでした。
その後、根掘り葉掘りしつこく聞き取りをした結果、ハンドルをいっぱい切った状態が一番音が出やすいのではと思い、本人を横に車を動かしてみると「クウォーン」という音が再現出来ました。しかし、その一回のみで後は何度やっても出ず。この音で間違いない事と左前輪付近からと言うことが分かっただけでも儲けものです。
車両をジャッキアップして左タイヤを揺すってみるとガタが出ていました。一瞬、ハブベアリングかと思いましたが、よく見てみるとロアアーム・ボールジョイントにガタが出ていました。
問診している時に、下から覗くとロアボールジョイントのブーツが破れているのは確認していたもののロアアームを取り外しブーツの中を確認すると凄まじい状態になっていました。
もともと塩害地で使用されていたものをもらってきたそうですが、ロアボールジョイントブーツが破れているのに気づかず乗っているうちにグリスが切れ、サビが進行してしまったようです。
まだ、ボールジョイントが抜ける程ではありませんでしたが、時間の問題だったと思います。
勢いに任せて交換してしまったので途中の画像はありませんが、矢印で示している部分の3本のボルトを外すとロアアームを外すことができます。車種によってはキャッスルナットに割ピンが入っているものが使われているものもありますが、この車両は横から入るボルトがロアボールジョイントの窪みに引っ掛かるタイプですので、割ピンは入っていません。
最後に
別件でお伺いした際に、「この車のアンダーカバーを替えたい」との申し出がありました。その理由を尋ねると、「変な音がする」と言うのが、この修理の始まりでした。確かにアンダーカバーの一部がちぎれてぶら下がっていましたが、すぐさま異音に繋がる状態ではありません。よくよく話を聞いていくと最終的にハンドルを切った時の異音に繋がったのです。その話の中でロアボールジョイントが気になったので、走行中に「コトコト」音は出ていないか確認してみたところ「そんな音はしていない」との事でしたが、実際に走ってみるとギャップで左フロントから「コトコト音」が出ており、怪しいと思いつつ点検した結果、不具合箇所を見つける事が出来ました。言われるままにアンダーカバーの交換だけを行っていたら、最悪ボールジョイントが外れ走行不能になっていたかもしれません。今回はそのような事態を未然に防げてホッとしています。このことを通じて、いかに問診が大事かを再認識した次第です。
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